今回は基本中の基本のお話しですが、
「浄土真宗本願寺派ってどんな宗派?」
という一番初歩でありながら、一番大切な部分をお話ししたいと思います。
- 本山は?
- だれが教祖?
- どんなお経を唱える?
- ご本尊(ほんぞん)は?どんな仏様を拝む?
- どんな教えでどんな決まりがある?
などなど、
この記事では、なるべくたくさんの疑問を簡潔に説明していきます。
今回お話しするテーマは、
浄土真宗本願寺派とは?はじめての人にもよく分かる入門編
ということで、
全く分からない方はもちろん、ある程度知識のある方にも読んでいただける内容です。
今後の仏事に役立てていただけると思いますので、是非ご覧ください。
宗派の正しい名前(言い方)
正式名称は「浄土真宗本願寺派」と言います。
(西本願寺派・お西と呼ぶ方もいらっしゃいますが、これらは正しい言い方ではありません。)
日本には仏教の宗派がたくさんありますが、一番多いのが浄土真宗なので、
自分の家の宗派を調べてみたら、実は浄土真宗本願寺派だったとなる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
現在 浄土真宗は10宗派存在しますが、今回お話しする本願寺派が浄土真宗の中でも一番大きな宗派となります。
浄土真宗本願寺派の本山
浄土真宗本願寺派の本山は「本願寺」というお寺です。
〒600-8501
京都府京都市下京区堀川通花屋町下る
tel (075)371-5181(代)
正式には「龍谷山本願寺」といいますが、一般的には「西本願寺」と呼ぶ方が多い印象です。
地元の人からは「お西さん」と呼ばれて親しまれています。
第11代顕如上人の時代、天正19年(1591)に現在の場所へ移転しており、
移転を命じたのは豊臣秀吉でした。
浄土真宗の本山移転は秀吉に限らず、織田信長や徳川家康といった戦国武将や、
当時の混乱した時代背景によって、場所を転々とした経緯があります。
浄土真宗本願寺派の紋(マーク)
浄土真宗本願寺派では宗派の紋として、
「下がり藤」と「五七桐」の2つの紋が用いられています。
主に目にするのは図の左側の「下がり藤」の方だと思いますが、
お仏壇の仏具・お寺さんの袈裟・聖典の表紙など、
浄土真宗本願寺派のしるしとして、いたるところに用いられています。
浄土真宗をつくった人
宗派をつくった人を「宗祖」と言いますが、
本願寺派の宗祖は「親鸞聖人」です。
平安時代の末の1173年5月21日に誕生され、
9歳で出家、その後は比叡山の厳しい修行や法然上人への弟子入りなど、
90歳で生涯をとじるまで、大変な人生を歩まれています。
結婚もされて子供もおり、
浄土真宗本願寺派の代々の後継者(ご門主)は、いま現在も親鸞聖人の子孫が継いでおられます。
浄土真宗のほとけ様
浄土真宗はどんな仏様を拝むかというと、
西方極楽浄土の教主である「阿弥陀如来」という仏様です。
無限の寿命をもつことから「無量寿如来」とも呼ばれます。
限りない光(智慧)と限りない命を持って、人々を救い続けるとされ、
阿弥陀如来によって立てられた「四十八願」という誓いの中には
南無阿弥陀仏と唱えるあらゆる人々を必ず極楽浄土へと導く
とあります。
浄土真宗のご本尊
信仰のよりどころとなる対象を「ご本尊」と言いますが、
ご家庭のお仏壇は、掛け軸のご本尊になると思います。
浄土真宗のご本尊には2種類あり、
「ご絵像」…阿弥陀如来のお姿が描かれたもの
「お名号」…南無阿弥陀仏と文字が書かれたもの
といったご本尊が安置されます。
信仰上、最も尊ぶべき礼拝の対象となる大切なものなので、
お仏壇を購入される際には、仏壇店でご本尊を求めるのではなく、
本山から交付される正式なご本尊をお受けするようにして下さい。
浄土真宗のお経
1・「仏説無量寿経」
2・「仏説観無量寿経」
3・「仏説阿弥陀経」
釈迦如来(お釈迦様)によって説かれたこの3つのお経は、
親鸞聖人によって選ばれて「浄土三部経」とされていて、浄土真宗ではこれ以外の経典を読むことはありません。
お経ではない「お経」
お経というものは、お釈迦様の言葉を意味しますが、
一般的に「お経」と呼ばれているものには、そうではないものがあります。
宗祖である親鸞聖人が著述された主な聖教には、
「正信念仏偈」・「浄土和讃」・「高僧和讃」・「正像末和讃」
というものがあり、厳密に言うとお経ではありませんが、
特に「正信念仏偈」はよく読まれており、門徒の方からは「お正信偈」と呼ばれて親しまれています。
蓮如上人のお手紙
法要の最後に、お寺さんが私達の方を向かれて拝読される時があると思いますが、
「それ、人間の浮生なる相を・つらつら観ずるに…」
と拝読されるものが「御文章」と呼ばれるものです。
これは、本願寺第八世門主である蓮如上人が、
念仏の教えを民衆に分かりやすく伝えるために書かれたものです。
この御文章が拝読される際には、一同、軽く頭を下げて心静かに拝聴する決まりになっています。
浄土真宗の教義(教え)
浄土真宗の教義としては以下のように記してあります。
阿弥陀如来の本願力によって信心をめぐまれ、念仏を申す人生を歩み、この世の縁が尽きるとき浄土に生まれて仏となり、迷いの世に還って人々を教化する。
引用:拝読 浄土真宗のみ教え より
何を言っているか、もう少し分かりやすくというと、
阿弥陀如来が誓った
「南無阿弥陀仏と唱えるあらゆる人々を必ず極楽浄土へと導く」
という、絶対に揺るぐことのない「心」をそのまま頂き、
生きているあいだは、ただ「南無阿弥陀仏」とお念仏を唱えさせて頂いて、
この命が終わった時には、阿弥陀如来のお働きによって
極楽浄土へと仏と成って生まれ還らせてき、
今度は仏として、迷いの世界(生きている人間のこの世)で苦しむ人々を、
お念仏に遇う縁をつなぐ働きをする。
という内容になります。
教義に出てきた「信心」というのは、信じる心ではありません。
「信心」とは「阿弥陀如来の絶対に揺るがない心」という意味で、
私達の揺らぎやすい心とは到底レベルの違うもので、私達には無いものなのです。
難しいですが、ここが誤解されやすいポイントなので、ちょっとだけ説明させていただきました。
仏事はすべて自分のため
浄土真宗では、葬儀や法事といった仏事の場は、
「故人の為ではなく、生きている自分達が救われる場である」
とよく言われますが、
家族が亡くなって、遺族や親戚が集まって葬儀や法事をするのも、
極楽浄土で仏に成られた故人が、私達にお念仏に出会う機会を与えて下さっている
と理解します。
故人に成仏して欲しいと祈るのではなく、私達が浄土真宗のみ教えを聞かせていただく場だということです。
まとめ
・正しい宗名は「浄土真宗本願寺派」
・本山は「本願寺」
・宗派の紋は「下り藤と五七桐」
・浄土真宗は「親鸞聖人」によってつくられた
・浄土真宗の仏様は阿弥陀如来
・ご本尊は「ご絵像」と「お名号」の2種類
・浄土真宗のお経は「浄土真宗三部経」以外の経典は読まない
・浄土真宗の教えは「信心」がポイント