お墓を建てようと考えた時に、
お寺の境内に設けてある寺院墓地を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
お寺の墓地の契約にはどんな条件があるのか?
費用やお布施が気になるし、檀家じゃないと受け付けてもらえないのでは?
など、伝統や格式といったものに敷居の高さを感じますね。
そこで今回は
お寺にお墓を建てる方法と費用・檀家などの疑問
をわかりやすく解説します。
寺院墓地の特徴
お寺の墓地には、お寺の境内(けいだい)にある墓地と、それ以外の場所に開設された墓地があります。
今回解説するのは、お寺の境内にある「寺院墓地」についてです。
寺院墓地の主な特徴は以下の4つです。
「経営主体」寺院墓地を所有しているお寺(宗教法人)が運営・管理
「募集時期」必要な時期に申込が可能
「申し込み資格」その寺院の檀家に限られる墓地と檀家にならなくていい墓地がある
「使用料・管理料」自治体などが運営する公営墓地に比べると割高。檀家になった場合は墓地の永代使用料や管理料の他に、寺院の維持の為のお布施・寄付が必要
「永代使用料」というのは、墓地を使用する為に支払うお金です。
墓地の契約では、土地を購入するのではなく、「借りる」という考え方で、どの墓地でも同じです。
「管理料」というのは、墓地全体の施設や共同スペースなどの管理にあてられるもので、個別にお墓を管理してもらえるわけではありません。
お寺にお墓を建てる費用の相場は?
では、気になるお金の話ですが、以下の項目にそれぞれ費用がかかります。
これら全てを合わせた
寺院墓地にお墓を建てる相場は200万円~500万円
となります。
高い!と感じる方もいらっしゃると思いますが、寺院墓地では、一般的に他の墓地にお墓を建てるよりも割高になります。
寺院墓地の場合、檀家になる場合に「入檀料」もかかってくるので、他の民営墓地や公営墓地に比べると支払いの項目が多いのも費用が高くなる要素の1つです。
それぞれの項目別の5つの相場を見てみると、
- 寺院墓地の永代使用料の相場…150~300万
- 墓石の建立費の相場…100~300万円
- 墓地の年間管理料…約1万円
- 開眼・納骨法要などのお布施…約5万円
※お車代・お膳料は含まない - 入檀料…約15万円
という内訳となり、都心では墓地の使用料だけで200万円以上といった所も多くあります。
地域差、墓石の素材による値段、区画の広さ、工事のしにくい立地に墓地があれば、
施工期間や手間が増えて工事費が割高になる事もあります。
寺院墓地の「永代使用料」や「管理料」は、お寺の伝統や格式によって違いがあります。
一般的に他の墓地より高い傾向にありますが未だに根強い人気があり、現在すでにお墓を持っている人の約半数が寺院墓地に建てている事から、「お寺という安心感」「日ごろから僧侶の功徳を受ける事ができる」というのが魅力となっているようです。
継ぐ人がいない場合は永代供養の相談をしましょう
永代供養というのは、お墓の供養・管理を墓地の運営者側で行ってくれる契約の事です。
寺院墓地の永代供養だと、お参りする人に代わってお寺が供養・管理してくれます。
お墓は基本的に「継ぐ人がいる」というのを想定しますが、近年は残った人に負担をかけたくないといった理由や、子供のいない人などが増え、永代供養料を支払って契約するお墓が増えています。
ただし、永遠に供養・管理してくれるわけではなく、契約内容によって年数が違いますが、
33年や50年といった期間内だと供養・管理してもらえて、それを過ぎると遺骨は取り出されて共同墓などへ他の遺骨と一緒に埋葬されます。
墓地の契約の際に永代供養についての期間・遺骨の取り扱いなどをよく確認しておきましょう。
寺院墓地のメリット・デメリット
メリット
- 寺院の管理なので安心して利用できる
- 檀家になると、すべての法要をその寺院で執り行う事ができる
- 法要時にお墓と寺院が近くて便利
- 寺院にあるので交通の便が良い墓地が多い
- 日常的に僧侶の回向を受ける事ができて、良い供養になる
- 管理が行き届いている
デメリット
- 檀家になると寄付・お布施などでお寺の経営を支える義務を負う
- 日常的にお寺の行事に参加する場合がある
- 石材店が指定されている所が多い
- 建てる墓石の形状に制限がある所が多い
- 空きが少なくて、取得の難しい墓地が多い
- 宗派を問わない寺院でも、法要はそのお寺の宗派で行われる
寺院墓地を選ぶ人はお寺という安心感や宗教観や信仰心の厚さから、多少費用がかかってもお墓を建てたいと考えるようです。
寺院墓地にお墓を建てる方法・流れ
一般的な「寺院墓地にお墓を建てる」という方法は以下になります。
1・寺院墓地の情報集め
2・実際に見学に行ってお寺の様子を確かめる
3・寺院墓地の契約をする
4・石材店の指定がなければ好きなお店を選ぶ
5・墓石選びやデザインを相談する
6.お墓の施工にとりかかる
7・お墓の完成を確認する
8・開眼法要をする
檀家の場合だと、これからお寺とのお付き合いが始まるのでなるべく自宅から近いお寺を選んだ方が負担が少ないでしょう。
寺院墓地の契約は、直接そのお寺へ申し込むのが一般的ですが、石材店からでも寺院を紹介して仲介してくれるところがあるので、石材店に相談してみるのも1つの手です。
必ず現地に赴いて自分の目で見学し、周囲の環境などを観察・確認して下さい。
僧侶がどんな人か挨拶をして、どんな檀家さんが出入りしているかなども墓地選びの参考になります。
お寺にお墓を建てるなら原則 檀家になる必要あり
寺院墓地を使用する場合、原則としてそのお寺の檀家になる事が義務付けられています。
しかし中には寺院境内の墓地を、「檀家向け」の部分と「一般向けの宗派不問」の部分に分けて運営している所もあります。
宗派不問の意味とは?
寺院墓地の中には「宗派不問(しゅうはふもん)」というところがあると言いましたが、
「宗教不問(しゅうきょうふもん)」とは違い、どの宗教のお墓でも建てていいわけではありません。
宗派は不問だが宗教(宗旨)は仏教に限るという事です。
この場合の仏教とは、
ほとんどの場合、在来仏教に限るという制限を設けている寺院がほとんどです。
在来仏教(ざいらいぶっきょう)とは?
在来仏教の主な宗派は以下の13宗です
- 法相宗(ほっそうしゅう)
- 華厳宗(けごんしゅう)
- 律宗(りっしゅう)
- 天台宗(てんだいしゅう)
- 真言宗(しんごんしゅう)
- 浄土宗(じょうどしゅう)
- 浄土真宗(じょうどしんしゅう)
- 臨済宗(りんざいしゅう)
- 曹洞宗(そうとうしゅう)
- 日蓮宗(にちれんしゅう)
- 融通念仏宗(ゆうずうねんぶつしゅう)
- 時宗(じしゅう)
- 黄檗宗(おうばくしゅう)
※なお、新興宗教は在来仏教には含まれません。
このように宗派不問として13宗を受け入れてくれる寺院墓地であっても、法要はその寺院の宗派によって執り行われるのが一般的です。
例えば、故人の信仰宗派とは違う宗派の寺院にお墓を建てた場合、法要の際に故人の信仰宗派の僧侶を呼んで儀式を執り行う事はできないというわけです。
寺院墓地の募集広告で注意すること
もし、寺院墓地の募集広告などに「宗派不問」という文字があったとしても、この言葉には以下の2通りの解釈があるので注意しましょう。
①墓地の購入後もそのまま宗派を問わない
②墓地の購入前の宗派は問わないが、購入後はその寺院の宗派に属さなければいけない
①はそのまま自分の宗派でいいわけですが、
②の場合だと、墓地の購入後(契約後)にそのお寺の宗派に改宗しなくてはならなくなり、
戒名などの付け直しなどの問題が発生します。
お寺へのお布施の金額
檀家になるとお寺との付き合いが大変だと言う人も多いようですが、「春・秋のお彼岸」「お盆」最低でもこの3回のお墓参りをして、その際には本堂の御本尊へのお参りや僧侶への挨拶をしましょう。
お墓だけお参りして帰る方もいますが、お墓を建ててお世話になっているお寺の本堂のご本尊へのお参りは重要です。
きちんと本堂のご本尊へお参りを忘れずにするのが檀家のたしなみです。
その他、お寺では色んな行事があるので、これらに参加することもおすすめします。
お布施の相場が分からなくて不安といった人も多いですが、石材店や葬儀社に尋ねる方法もあります。
基本的には各法要時には3万円~5万円包むといいでしょう。
まとめ
・お寺の墓地にお墓を建てる費用相場は200万円~500万円
・他の民営墓地に建てるよりも割高
・継ぐ人がいない場合は永代供養の相談を
・お布施やお寺に聞きにくい事は石材店などに相談してみる
・原則として檀家になるのが基本
・宗派不問という言葉の解釈に注意
・お墓参りの際には本堂のご本尊にもお参りする
寺院墓地でも、墓地が境内以外の場所で運営されている場合だと「経営主体は寺院」「管理・運営は業務代行業者」という例がほとんどです。
このケースでは業務代行業者へ問い合わせ・申し込みをする形となります。