危篤とはいつ亡くなってもおかしくない状態のことを言いますが、持ち直したり危なくなったりを繰り返して1週間も危篤状態が続く…
という場合も十分考えられる非常に不安定な状態です。
そんな危篤の知らせを受けたら、あなたはどうしますか?
家族構成・仕事の内容・正社員・派遣社員・バイト 色々な立場の方がいて危篤の状況もそれぞれだと思います。
今まさに迷っている人・後悔している人・モヤモヤしている人・自分の答えが出せずに悩んでいる方へ
親や祖父母の危篤で仕事を休む?会社と家族どっちが大事?
という内容を掘り下げてみたいと思います。
今回の記事を書くにあたり、参考として営業マンである夫に、当時祖父が危篤だった時の「自分の仕事と家族の危篤」についても聞いてみました。
危篤は忌引きではなく有休の扱い
まず、自分の働いている会社の就業規則は御存じでしょうか?
危篤の場合は一般的に年次有給休暇(有休)の申請をすることになりますが、危篤の知らせというのは緊急であることも多いので、突然休みをもらわなくてはいけない状況になると思います。
会社によっては年次有給休暇の申請が間に合わなくても、事後申請を認めてくれる場合もあるので、就業規則を調べて把握しておきましょう。
そもそも、有休が(使ってしまって)無い場合や、申請が間に合わなくて認めてもらえなかった場合には「欠勤」扱いとなり、休んだ時間分の賃金が支払われないことになります。
会社の就業規則はどうやって調べたらいい?
就業規則というのは、
- 働く時間
- 給与額
- 休みの日
- 罰則
など、会社と従業員の双方が守るべきルールが定められている書類です。
基本的には入社時に説明を聞いたり、写しを配布されたりするのが一般的ですが、自社の就業規則を一度も見たことが無いという方も多いのではないでしょうか?
正確に知りたい場合には、総務などの関係部署などに問い合わせてみましょう。
会社によって就業規則はそれぞれ違いますが、作成するのであれば必ず従業員へ周知しなければならないと労働基準法で定められています。
周知方法は様々ですが、「従業員が見たい時にいつでも見れる」という状態にしておかなければなりません。
もし、あなたの会社が「就業規則は会社の重要書類だから簡単には見せられない」
と言ってきたら、その会社はブラックである可能性が高いかもしれません‥。
従業員にしっかり周知されていない就業規則については
その効力を否定されています。
裁判の実例から見ても、
そのような就業規則の内容を根拠とした懲戒処分などは
行うことはできないとされています。
危篤の場合、忌引き休暇は取れません
多くの会社では、親族の葬儀による「忌引き(きびき)休暇」という制度がありますが、
こうした忌引き休暇は親族が死亡してから起算するのが通常です。
危篤状態は死に近い状態ですが死亡ではないため、忌引き休暇を取得することはできません。
危篤だからといって、忌引き休暇を早めて使うこともできません。
なので、初めに言ったように危篤で会社を休む場合には、年次有給休暇(有休)もしくは欠勤という扱いが一般的です。
危篤で仕事を休む・休まないは自分の意志で決める
危篤については休む・休まないは自分で決める事になります。
少し厳しい言い方になりますが、あなたの家庭の事情や危篤状態の人への想いは、周囲の人間にはわかりません。
仕事を休む・休まないの判断は自分の意志で決めるのが大前提です。
職場の人からすれば、そういった相談をされても困ってしまいます。
人の死が関係する事なので、安易な返事ができないのが本音です。
同僚や上司に「親(祖父母)が危篤なんです…」と言って相手の反応を伺ったり、察して欲しい…と頼っても仕方ありません。
後悔しないためにも、大事な決定は自分で行ってください。
危篤で仕事を休むのは非常識に思われる?
みなさんが一番気にするのが、
「危篤で仕事を休むことは非常識に思われないか?」
という部分だと思います。
これについては、
親(祖父母)の危篤で会社を休むのは非常識ではない(問題ない)
と考えて大丈夫です。
これは職種や正社員・派遣・バイトといった雇用形態に関わらず、特に2親等内なら常識の範囲だと思います。
これを踏まえたうえで、会社の就業規則にしたがって有休または欠勤の申し出をして下さい。
上司や職場から冷たい態度をとられる場合も
多くの職場ではこんなことはないのですが、
「危篤なので休みたいのですが…」
と言った時に、
(自分の負担が増える・葬儀じゃないのに休むの?)
という空気になり、そっけない返事や時にはきつい言葉を放つ人もいます。
それを限りなく防ぐには、前もって話しておくことです。
「いつ危篤になってもおかしくない身内がいるので、その時には休ませてもらいたい」
と先手を打って事情を伝えておくのも大事です。
ただ、家族の危篤時に心無い言葉をかけてくるような人は、残念ながら人の気持ちが理解できず、心の余裕もないのでしょう。
特殊な仕事であなたの代わりが無く、混乱を招く状況ならともかく、
誰かに代わってもらえる仕事なら、職場の上司への報告や休暇の手続きをきちんとしていれば問題ありません。
仕事(会社)と家族どっちが大事?夫の場合
この記事を書きながら、営業マンの夫に話を聞いてみたくなったので、
「親・祖父母が危篤だと知らせを受けたら、約束が入ってても仕事を休んで看取りに立ち会う?」
と、質問をしてみました。夫の答えは
「自分は危篤の知らせでも仕事はできるだけ休まないと思う」
とのことでした。
実際、夫の祖父が危篤状態の時にも仕事を休まなかった夫の回答に予想はついていたものの、
家族思いの夫があの時どうやって仕事と家族の折り合いをつけたのかを知りたくなったので、
夫の祖父が危篤状態だった時の様子を振り返ってみようと思います。
ちなみに夫は1980年代生まれで、団塊ジュニアと呼ばれる世代になります。
当時すでに結婚してた夫と私は、実家から離れて県外に暮らしており、子供も未就学児が2人の状態でした。
数年前の話ですが、よろしければ一例として読んでみて下さい。
夫なりの「祖父との別れと仕事」の両立
夫の祖父は癌を患い、心臓や腎臓も良くない状態が続いていました。
夫は職場の人や上司に、普段からの世間話の中で
「祖父の状態があまりよくない」
という話を前もってしていたようです。
夫の仕事は営業職で、毎月のノルマがあり、
自分が担当するクライアントとの約束が毎日のように入っている仕事内容です。
実家から「祖父がもう長くない」という知らせを聞いて、
亡くなる2週間前くらいから会社帰りに高速道路を使って出来る限り祖父の元を訪れていました。
ある晩、祖父に会って帰って来た夫が、泣いた後の顔だったので、
「大丈夫?」
と聞いてみたところ、まだ亡くなってはいないものの、
元気だった頃の面影は完全になくなり、別人のようになってしまったとのこと。
結婚してからも夫の祖父宅には年に数回子供を連れて帰っていたので、
そんな見慣れた祖父の顔が、いよいよ死期が近づいて変貌したのを見て、
「もう自分の知っているじいちゃんじゃなくなった…」
と、駐車場に停めた車の中で号泣してきたそうです。
その時に、死に目に会えないかもしれないことや、祖父との別れを覚悟したそうです。
それからも数回ほど祖父には家族全員で会いにいけたのですが、
まもなく、夫は仕事中に祖父が亡くなった連絡を実家から受けました。
連絡を受けたのが昼ごろだったので、
亡くなった当日は半休(有休)をもらい、翌日からは忌引き休暇を3日取得して通夜・葬儀に参列しました。
半休と忌引き休暇については、職場の上司に話をして許可をもらい、
同じ営業課の人には自分のクライアントの引き継ぎをお願いし、
クライアントには事情を話して、約束の日をずらしてもらうなどの対応をしたそうです。
なお、忌引き休暇中でも仕事用携帯が鳴ればできるだけ対応し、
通夜・葬儀中にかかって来た場合は後でかけ直すなどしていました。
私も夫も、臨終には立ち会えなかったものの、
出来る限り祖父に会いにいったことで後悔はありませんでした。
祖父はずっと仕事人間でとても苦労しており、
常日頃から夫に対して仕事の大切さをよく話してくれて、家族全員をとても気にかけてくれる人でした。
夫の祖父の側には、常に夫の祖母・両親・叔母が付き添っていたので祖父が1人になることはなく、
そういった状況から、夫は危篤状態の間も仕事をしつつ、できる限り祖父に会いに行くという選択をしたのだと思います。
夫は通夜・葬儀で受付をし、休暇中は祖母や両親の助けになっていました。
以上のように、夫は危篤で休みを取らなかったものの、
自分ができることをして祖父とお別れをしたんだと思います。
もしこれが自分の妻子だった場合は、危篤となれば迷わず休むと言っていました。
結婚すれば、優先順位は自分の配偶者と子供なので、
この辺は独身の方とは対応が違ってくるのではないでしょうか?
まとめ
・危篤の場合には一般的に有休休暇(または欠勤)で休むことになる
・忌引き休暇は親族が死亡してから起算される
・会社の就業規則は、総務課などの部署へ問い合わせる
・危篤で休む、休まないは自分の意志で決めるのが大前提
・親(祖父母)の危篤で休んでも非常識ではない
・危篤で仕事を休まなくても家族は大切にできる方法はある
危篤状態にずっとつきっきりで、臨終の瞬間に立ち会えるのが理想的とされますが、すべての人が思い通りの別れ方ができるわけではありません。
このような形がお別れの全てでは無いのではないでしょうか?
仕事と家族の危篤という判断は、本当に人それぞれだと思いますが、最良の対応をされて、なるべく後悔の少ないお別れができるといいですね。