現在の日本では、8割近い方が病院で亡くなりますが、その次に多い場所が「自宅」です。
ご家族が発見した場合に、とにかく救急車!と電話をかけたくなる方も多いと思いますが、実は救急車を呼ぶべきではないケースもあります。
そこで今回は、
自宅で死亡・救急車を呼ぶと警察も来る?その理由と正しい対応
ということで、
気が動転した状況でもなるべく迅速で正しい対応ができるように、自宅で家族が死亡(危篤)した場合の正しい対応や連絡先を解説したいと思います。
自宅と病院・亡くなった場所で手続きが違う
自宅で死亡した場合、病院とは違って医師の迅速な死亡診断をうけることができません。
病院であれば、患者の臨終の際に立ち会った医師によって、死亡診断書を書いてもらうことができますが、自宅で死亡した場合には医師に来てもらう必要があります。
医師が発行する「死亡診断書」というものは、葬儀や火葬をはじめとする様々な手続きを進める為に必要なものなので、ご家族を亡くしたご遺族が最初に手にする大切な書類となります。
自宅で死亡・病院で診療を受けていた人の場合
まず、診療所などに通院していて、かかりつけ医のいる方が自宅で死亡しているのを発見した場合、救急車を呼ぶのは待ってください。
通院している方が自宅で死亡した場合の正しい対応は、主治医に連絡することです。
病院で診療を受けてから24時間以内に亡くなった場合には、死後検診をすることなく死亡診断書が発行されます。
24時間を超えた場合では、死後検診を行った上での発行となります。
患者さんの病状などを把握している医師が、その死亡に不審なところが無いと医師が確認できれば、問題なく死亡診断書を受け取る事ができるでしょう。
(主治医が不可解な点があると思う場合には検死が行われます)
もし、自宅の看取りを希望する場合
万が一の時に往診をお願いできるか(死亡診断書を作成してくれるか)
通院している病院の主治医に聞いておきましょう。
在宅医療をあつかっている医師の場合、往診に対応してもらえることが多いと思います。
ヘルパーさんを依頼しているご家庭なら、もしもの時の連絡先をお互いに確認することをおすすめします。
自宅で看取るつもりなら、最期を自宅で迎えれるように事前に体制を整えておく必要があります。
家族間でもよく話し合っておきましょう。
もし、あわてて救急車を呼んだ場合
救急車を呼んでも患者さんがすでに死亡していると分かると、救急隊員によって警察を呼ばれることになります。
事件性の有無の確認や、死因の特定の為です。
事件性が無いと判断されれば死亡診断書と同内容の「死体検案書」が検案を行った警察医によって発行され、あとは通常どおり、葬儀の準備にうつることができます。
ただし、警察が不審な点が多いと判断すると、検死解剖までされる可能性もあります。
まだ救命の余地があると判断された場合は、救急隊員によって延命措置がとられる場合もあります。
自宅での看取りで自然な最期を迎えたいなど、そのように今まで看病されてきた場合は、
ご本人やご家族が望まない措置をとられることになりかねないので、慌てて救急車を呼ぶ事はせず、主治医に連絡して慎重な対応をされて下さい。
[救急隊、家族が蘇生断ったら]消防本部に中止広がる
「自宅や施設で看取り」という本人や家族の考えと、「救急隊としての救命という使命」の問題について、2019年6月25日の朝日新聞デジタルに以下のような掲載がありました。
自宅や高齢者施設で最期を迎える人が増える中、心肺停止になった際に家族らが119番通報して、駆けつけた救急隊に心臓マッサージなどの蘇生処置を断るケースが相次いでいる。その際、都市部の消防本部の25%が条件つきで蘇生中止を認めていることが、朝日新聞の調査でわかった。中止容認に向け検討を進める本部もあり、広がりをみせる。だが中止について国のルールはなく、救命が使命と考える隊員は、ときに強く葛藤する。
看取るはずが、いざ心肺停止という事態に直面した時に、
動揺して救急車を呼んだものの「蘇生措置をしないで欲しい」と家族から言われるケースが増えている事に関して、
都市部の消防本部で「蘇生中止」のルールが検討される動きが広がっているという内容ですが、救急隊員の方にとっては板挟みのような状況だと思います。
救命措置(AEDや心臓マッサージ)をして欲しくないのであれば「救急車を呼ばずにかかりつけ医に連絡する」などの手順を家族間で周知しておく必要があります。
救急車が死亡した人を搬送せずに警察へ連絡する理由
では、救急車が明らかに死亡している方を搬送しないのはなぜでしょうか?
通常、死亡判断は医師が行うものですが、救急隊員が死亡と判断できるのが、死斑・下顎硬直・瞳孔散大等、これら全ての条件を満たしている時だけです。
救急隊員はすでに亡くなって蘇生もできないと判断した場合には、警察へ連絡するといいましたが、
医師による死亡診断書が未発行のご遺体に対しては、警察の管轄になるということと、
本来、救急車というのは救命するためのものであって、遺体搬送が役割ではないというのも理由として考えられます。
警察の事情聴取・聞き取りは遺族が辛い質問も…
亡くなった場所が自宅ということから、
警察官は現場の確認、警察医は検死を行って死因の特定や事件性がないか判断しますが、聞き取りを受ける方に対して、亡くなった方との人間関係や財産の事など、踏み込んだ内容を聞いてくることもあるようです。
どんなに真面目で隠し事のない人に対しても平等に聞き取りは行われるので、家族を失った悲しみの中で辛い対応をすることになり、かなりの負担がかかるでしょうけど
警察は問題がなければそのまま帰るので、必要以上に感情的にならないのも自分の心身を守る方法かと思います。
ご遺体を動かしたり部屋を片づけたりしてはいけない
よくあるのが、お風呂で亡くなった場合に、遺族が「故人が裸でかわいそう、他人に見られるのは心苦しい」として、服を着せて布団などに寝かせるケースです。
きちんと死因が特定されるまではご遺体を勝手に動かすことはできません。
そのままにしておくのも心情的にとても辛いと思いますが、
ご遺体を動かすと、警察の実況見分・検案の妨げとなり、混乱を招く恐れがあります。
ご家族の代表者が長い取り調べを受けるはめになってしまうこともあります。
また、外部の人間が来るということで、部屋の片付けや掃除をしたくなると思いますが、現場保存の方が大切です。
家の中の物を動かしてしまうと警察の仕事に大きな支障が出てしまいますし、証拠隠滅を疑われる場合もあるので、家の中はそのままの状態にしておくのが一番よい方法です。
※これは自宅で看取りを行った場合でも一緒です。
誰が見ても明らかに死亡していることがわかっていたとしても、
きちんと医師からの死因特定がされるまでは、
ご遺体を勝手に動かさずに主治医に連絡して指示に従いましょう。
まとめ
・かかりつけ医のいる方が自宅で死亡したら主治医へ連絡
・かかりつけ医がいない自宅の突然死は救急または警察へ連絡
・救急車を呼んでも死亡が明らかだと警察へ連絡される
・警察は事件性の有無の確認と死因を特定する為に来る
・事情聴取、取り調べは必要な作業
・ご遺体はそのままで動かさない
死亡が明らかな場合では救急車を呼んでも警察へ引き継がれることになります。
若い方でも何があるかわかりませんが、特にご高齢の方がいらっしゃるお宅では、とっさの判断に慌てない様に、日ごろから家族間でどこへ連絡しするかを確認されることをおすすめします。
そして、亡くなりになった場合にバタバタと葬儀会社を探して準備するとこはおすすめしません、
冷静な精神状態ではないご遺族が、あれこれとプランと追加されてしまい、
あとで考えると余計なものが沢山あった!といケースも少なくありません。
昔に比べて、最近では葬儀会社を事前に決めて備えておくご家庭が多くなりました。
まだの方は、資料請求や事前相談などをされて準備されることをおすすめします。