今や当たり前に目にするハロウィンの「かぼちゃのおばけ」は、なぜハロウィンの象徴として扱われるようになったのでしょうか?
かぼちゃのオバケに灯りをつけたものを「ジャック・オー・ランタン」と呼びますが、この名前には、ある男の物語が関係しています。
- なぜ、ハロウィンにかぼちゃなのか?
- なぜ「ジャック・オー・ランタン」という名前なのか?
本来のハロウィンのお祭りの意味と一緒にお話ししたいと思います。
ハロウィンにかぼちゃを使う理由

ハロウィンは、アイルランドからアメリカに伝わった文化だと言われています。
当時のアイルランドでは、ハロウィンの時期には「かぶ」が収穫されていたので、もともとは「かぼちゃ」ではなく「かぶ」に灯りをともす習慣があったのです。
のちにハロウィンが伝わったアメリカでは、ハロウィンの時期にかぼちゃがたくさんとれていたので、かぼちゃにあかりをともすようになったんですね。
アイルランドで「かぶ」に灯りをともしていた由来
では、アイルランドではなぜハロウィンに、かぶに灯りをともす風習があったのでしょう?
それは、アイルランドの古いお話しに出てくる「ジャック」という男の物語が由来になっています。
どんなお話しかというと、ざっくりまとめると以下のような内容です。
ハロウィン昔話「アイルランドのジャック」

むかし、アイルランドという国に、ジャックという男がいました。
この男はケチで乱暴者、嘘つきで、人を騙してばかりいました。そして、好きなものはお酒でした。
10月31日のある夜、あの世とこの世がつながる日に、悪さばかりして人を困らせてばかりのジャックの前に、とつぜん悪魔がやってきて、こう言いました。
「今からお前の魂をとってやる!」
すると、ジャックは怖がることもなく、こう言いました。
「わかった!魂はあげよう、でもそのかわりに最後のお願いを聞いくれないか?りんごが食べたいから、あの木から取ってきくれ!」
そんなジャックのお願いに答えた悪魔は、リンゴの木に登りました。
するとジャックはすぐさま木の表面に十字架を刻んだのです!
十字架が嫌いな悪魔は、木から降りられなくなってしまい、大声でわめきました。
ジャックは悪魔を木からおろしてやる代わりに、もう二度と魂を取らない約束をさせました。
そして、悪魔は悔しがりながらあの世へ飛んで帰って行ったのでした。

ジャックは年を取っておじいさんになり、本当に死んでしまいます。
ジャックは天国にいこうと目指しますが、悪い事ばかりしてきたので、天国には入れてもらえません。
仕方なく地獄の入口までいくと、なんとあの時の悪魔が立っていました!
「久しぶりだなジャック!もしかして地獄に入りたいのか?」
ジャックがうなずくと、悪魔は嬉しそうに言いました。
「それは無理だな、ここに入るには魂をもらうことになってるんだ。お前の魂は取らない約束だったろ?だからお前は地獄に入れない!」
悪魔にそう言われて、途方にくれるジャック。天国にも地獄にも行けません。
真っ暗な中を永遠さまよい続けるしかありませんでした。
そこでジャックは悪魔に言いました。
「せめて明かりをくれないか?暗くて歩きにくいんだ・・」
悪魔はジャックに地獄の火の玉をあげました。
熱くて持てないジャックは、転がっていたカブに火を灯して来た道をトボトボもと来た道をもどっていったのでした。
「ジャック・オー・ランタン」は「ジャックのあかり」という意味
かぼちゃのおばけの事を「ジャック・オー・ランタン」って言いますよね?
日本語にすると「ジャックのあかり」という意味になります。
もともとアイルランドでのハロウィンは、このお話しになぞらえて、カブでランタンを作っていたのですが、そのあとに伝わったアメリカにはカブはあまりなかったそうです。
アメリカでは、ハロウィンの10月の時期にかぼちゃがたくさん採れたので、カブじゃなくてもかぼちゃでランタンが作られたというわけですね。
ハロウィンは何の為のお祭り?
元々は2000年以上前の古代ケルト民族の宗教儀式で、秋の収穫を祝い、悪霊を追い払う宗教的な意味をもつ行事でした。
後にキリスト教にアレンジされていった中で、11月1日は「万聖節」(ばんせいせつ)または、諸聖人の日といって、
亡くなった人が家族のところに帰ってくる日と言われています。(日本でいうところの「お盆」みたいなものです)
ただ、このアメリカ版のお盆には亡くなった家族以外にも、魔物もたくさんこの世に来てしまうので、
魔物にあの世へ連れていかれないように、ハロウィンにはおばけの格好をして、仲間だと思わせて、魂をとられないようにしたんですね。
まとめ
10月31日のハロウィンは秋の収穫を祝い、亡くなった家族を迎え、あの世から一緒にやってきてしまった魔物を追い払うお祭りということがわかりましたね。
そして、かぼちゃのおばけランタンは、悪いことばかりして天国にも地獄にもいけないジャックのランタンが名前の由来になっていて、
「ジャック・オー・ランタン」という名前が付いたということでした。
諸説ありますが、国や時代によってハロウィンが形を変えていく様子もおもしろいですね。