遺骨が骨壺(大)と喉仏(小)2つに分けてある場合、どんな意味があって・何か納骨にしきたりがあるのでしょうか?
当ブログを運営している私は骨上げを少なくとも5回以上経験してますが、ずっと知らない事がありました。
関東の方では、火葬後の遺骨を全て1つの骨壺に入れるという習慣を…
こちら(西日本)では、喉仏の骨は小さな遺骨入れに納められ、あとの骨は主な部分だけが骨壺に入れられます。
今回はこのような「骨上げ」の習慣の違いを取り上げつつ、
遺骨が2つに分けてある意味と喉仏の納骨方法について
をお話しします。
関東/関西・骨上げと骨壺の大きさの違い
火葬後に親族などが長い箸を使って遺骨を拾い上げ、骨壺に収めることを骨上げ(こつあげ)や拾骨/収骨(しゅうこつ)と言いますが、
地域の習慣によっても細かい違いはあるものの、その方法が関東と関西ではさらに大きく違う点がある事をご存じでしょうか?
東日本の骨上げと骨壺のサイズ
北海道や関東などの東日本では「全収骨」といって、遺骨の全てを骨壺に収めます。
そのため必然的に骨壺のサイズが大きく、7寸(高さ約26㎝・直径約22㎝)ほどの大きさが一般的です。
西日本の骨上げと骨壺のサイズ
関西などの西日本では「部分収骨」といって、主な部分の遺骨しか骨壺に収めません。
喉仏の骨は分骨して小さな入れ物へ分けられます。
その他の骨は主な部分だけ骨壺に収めます。
したがって、西日本の骨壺のサイズは6寸(高さ約21㎝・直径約18㎝)のものが主流です。
喉仏の小さい遺骨入れは「本山納骨」のため
西日本での骨上げを経験した方は、大きな陶器製の骨壺とは別にこのような小さな入れ物をもらったと思います。
この中には先ほども言ったように喉仏が入れられおり、基本的には「本山納骨」に使うものとして用意されます。
俗に言う「本山納骨」というのは、
浄土真宗の場合であれば、総本山である西本願寺(京都)へ納骨する事をいいます。
正確な納骨先は「大谷本廟(おおたにほんびょう)」という場所で、宗祖・親鸞聖人(しんらんしょうにん)のお墓です。
西本願寺の飛び境内地にある大谷本廟の納骨堂には、全国から浄土真宗の門徒(もんと:浄土真宗では檀家とは言わない)
の納骨が受け付けられています。
実は喉仏は「背骨の一部」だった!
先ほどからずっと喉仏と表現していますが、いわゆる男の人の首にポコッと出ているあの「のどぼとけ」ではなく、
骨上げの際に拾われる喉仏と言われる部分は背骨の上から2番目にある第二頸椎なのです。
出典:Wikipeia
この第二頸椎がなぜ喉仏として大事に扱われるのかというと、仏様が座禅しているような形・合掌した手の形に似ている事から仏教的にも特別な意味を成す骨とされています。
私達が喉仏と言われると、男の人の喉によくみる突起した部分を想像しますが、
あの部分は甲状軟骨なので、火葬されて高温で焼くと軟骨のために灰となり、遺骨として残る事はありません。
以前、火葬場で実は頸椎の骨だという事を、骨上げの際に担当者さんから丁寧に教えてもらいました。
私が経験した骨上げでは、はじめに喉仏を納めた後で、喪主から順番に足の方から遺骨を拾った記憶があります。
喉仏は骨壺と一緒にお墓へ納骨してもいい?
法事の際などにお寺さんに相談すれば、当然のごとく「大谷本廟へ納骨しましょう」と言われると思います。
本山納骨というのが大切にされてきた背景には、お墓を守る人が途絶えても、本山で永代供養をしていただけることや、
門徒のたしなみとして、本山納骨が重要視されてきた歴史が挙げられます。
なので、喉仏も全部一緒にお墓に納骨することは、もしかしたら周りに反対される可能性もあります。
しかし、石材店の方や葬儀社関係の方の中には
「喉仏も一緒にお墓に納骨する人も多い」
と話す人も多く、これが現実のようです。
西日本の習慣といっても、関東出身の方には馴染みのない習慣ですし、
その家の代が変われば納骨方法に対する考えも変わってくることもあると思います。
本山納骨は強制ではないので、各家庭での判断による納骨方法を選ばれて下さい。
身近な例:本山納骨する?しない?
私の身のまわりの例をあげてみると、夫の祖父の遺骨は全部お墓に収めてあります。
もともと、夫の実家は祖父が亡くなるまでどこのお寺にも属していない
「お葬式を出したことのない家」だったので、
浄土真宗についてもあまりよく知らない家柄ということが関係していると思います。
一方の私の実家ですが、私の祖父の喉仏は大谷本廟へ納骨されています。
本山納骨は大変ですが代々そのようにしています。
1人の遺骨ごとに京都の本山まで行くのは色々と大変なので、
京都へ行く機会のある時や、お寺主宰の旅行で西本願寺へお参りする際などに申し出をしています。
葬儀屋さんとしてはどっちでもよい
骨壺や喉仏の入れ物を用意するのは葬儀会社の役割です。
西日本地域であっても、要望によっては骨壺を1つしか用意しない事もあるようです。
ただ、基本的に関西での納骨は昔から分骨を前提に骨上げをすることから、
喉仏の取り扱いを意味深く思う方が多く、このような習慣が強く残っているのです。
葬儀屋さんの中には要望に応じて1つの骨壺しか用意しなかった時に、
後になってそこの本家側の人間から
「なぜ本山用の遺骨を分けなかったのか?!」
という連絡が入って、結局お墓に潜って喉仏を拾ったという事例もあるようで…
こんな事もあるので、納骨方法をどうするのかは、周囲に相談したほうがいいと思います。
遺骨入れが1つになろうと2つになろうと、
葬儀会社的にはただ「お客さんの要望にあわせる」というスタンスなので、お金儲けの為に2つ用意するというのは誤解です。
葬儀社の営業はかなり広範囲にわたるので、遺骨の埋葬方法について相談してみるのもいいかもしれません。
全部お墓に入れるか、お墓と本山に分骨するのか、
それとも他の場所へ分骨して納めるのか?
葬儀会社の方なら色んなパターンを知っていると思われるので、よいヒントがもらえるかもしれませんね。
まとめ
・東日本は全収骨で1つの骨壺に収める
・西日本は部分収骨で骨壺と喉仏用の2つに分かれる
・喉仏は本山納骨用
・西日本でも遺骨を全部お墓にいれる人は多い
・納骨方法は周囲によく相談すること
よくお仏壇に喉仏を長い間置いている方もいますが、ずっとそのままという訳にはいきませんので、いずれはどうするのかを考えないといけませんね。
自宅保管が長くなるといくつか扱いに注意点があるので、以下の記事もご参考ください。
[骨壺の保管について]遺骨(骨壺)を自宅で保管する期間・置き場所/カビ/法律の注意点