墓石には和型・洋型・オリジナルデザインといった種類がありますが、関西や四国では依然として「和型」の墓石が8割以上を占めています。
地域差がある「お墓のデザインや形」なので、周囲の意見も考慮して決めたいものですが、
今回は、
和型墓石の形・加工・大きさ(サイズ)
ということで、
石のパーツごとの呼び方や、加工方法の名前などと共にイラストや画像で分かりやすく解説します。
和型墓石とは?~基本的な建て方~
和型墓石(わがたはかいし)と呼ばれる形は、二段の土台の上に棹石(さおいし)と呼ばれる長方体の石が乗る「和型三段墓」が最も一般的です。
これは仏舎利塔(ぶっしゃりとう)や五輪塔(ごりんとう)を簡略化したものだと言われています。
棹石(さおいし)の部分は「仏石(ほとけいし)」と呼ばれたり、
3段の石を上から「天・人・地」と見立てて
- 棹石=天の石
- 上台=人の石
- 中台=地の石
と呼んだりすることもあります。
和型墓石の棹石に彫る文字について
ちなみに、墓地などで棹石に「○○家之墓」と彫ってあるのをよく見かけると思いますが、特に寺院墓地にお墓を建てる方には注意して欲しい事があります。
宗派によっては棹石に彫る文字に決まりがあるので、よく分からない方はお寺のご住職さんに尋ねてみるといいでしょう。
宗派別のお墓に刻む文字については以下の記事に詳しく書いてますので参考にされて下さい。
[box04 title="お墓に刻む文字について"]墓石の文字で家名(○○家之墓)を彫るのは注意!正式には何と刻む?[/box04]
和型墓石(棹石上部)のデザイン~色々な加工の形~
和型墓石のメインの石である「棹石」の一番上の部分「棹石上部」の形についてです。
加工に手間がかかるほど費用も高くなりますが、以下の図の中ではまっすぐ切ったままの「一文字型」が最も安いデザイン加工だと言えるでしょう。
「各兜巾型」は神道のお墓に多い加工方法
棹石上部が三角形に見える「各兜巾型」という加工は多くの場合 神道のお墓に使われる形ですが、
最近では和型墓石(仏式)・洋型・オリジナルデザインのお墓にもみられる事が増えてきました。
ただ、仏式の和型墓石にはあまり見慣れない加工なので、宗教・宗派に合った形にしたい人は石材店やお寺に相談することをお勧めします。
和型墓石(棹石)のデザイン~主な形~
棹石は「お墓の顔」ともいえる大事な石です。
最近の棹石はシンプルな角碑型(かくひがた)が多く見られますが、掃除のしやすさ・時代の流行り・費用面などで選ばれているのかもしれません。
伝統的な和型のお墓ですが、地域や納骨方法、石材店によっても形に違いがあります。
お店によっては豊富な種類から形が選べる所もあると思いますが、費用面・掃除や管理のしやすさなども重要です。
先ほど地域によって形に違いがあると言いましたが、墓石の形は建てる人の自由です。
寺院墓地などでは制限があるかもしれませんが、公営墓地や民営公園墓地などであれば、特に形に決まりはないので、自分好みの形や、生まれ故郷の慣れ親しんだ形を建てるのも問題ありません。
和型墓石(台石上面)のデザイン
先ほどまではメインの棹石を見てきましたが、そのすぐ下で支える「台石」の部分のデザイン・加工を見ていきましょう。
一見あまり気にならない部分だと思いますが、実は墓石に降った雨の水をどのように流すのかが台石上面の加工によって全く変わってくるので、その点に注意してデザイン選びをすることをお勧めします。
お墓の「猫足加工」が最近見かけなくなった理由
台石の上面の加工で忘れてはならないのが「猫足(ねこあし)加工」ではないでしょうか?
個人的には好きな形ではありますが、めっきり新しいお墓には採用されておりません。
猫足をご存じの方も多いと思いますが、向こう側の景色が完璧に見える手の込んだ加工です。
そんな猫足加工がなぜ無くなったのかというと、安定が悪い・地震に弱い・足が欠損する恐れがあるという理由から現在までの間に消えていった加工方法だと考えられます。
写真のお墓は私の母方のものですが、かなり古いものの猫足のお墓は他にもたくさんあり、どれもまだまだ現役で建っていました。
昔はお墓が家の象徴・職人の技が盛り込まれていた
昔は「お墓=家の象徴」として重要視され、石職人が「猫足」や「蓮華加工」といった難しい加工に腕をふるったお墓は本当に凝っています。
逆に最近のお墓はシンプルで最低限の加工のものが多く見かけられますが、お墓にお金をかける人は年々減少傾向にあることと、
逆にお墓自体を建てない「永代供養墓」や「樹木葬」が人気上昇中という背景があります。
以下の写真は母方のご先祖様の古いお墓ですが、どの部分の加工も素晴らしいですね。
近年の凝ったお墓はというと、オリジナルデザインの墓石を建てる人が増えてきています。
趣味のバイク・ゴルフ・ピアノをかたどったものや、話題になったのが水木しげるさんのゲゲゲの鬼太郎などがデザインされた、妖怪とたわむれるようなご本人らしいお墓も有名です。
和型墓石の大きさは?標準的なサイズ(寸・㎝)
和型のお墓では、大きさは棹石の横幅の長さを基準にして尺寸法で表します。
8尺角や9尺角というように、1寸(約3.03㎝)刻みで大きさが変わります。
大きさの例として、ここでは一般的な9型のサイズをご紹介します。
お墓を建てる時の寸法に決まりはありませんが、墓地の区画面積や、周りのお墓とのバランスなどを考慮して考えましょう。
お墓のサイズについては地域差やお墓を手掛ける石材店によっても若干の違いがありますし、本家のお墓よりも小さくする慣習や、妻は夫よりも大きなお墓にしないという地域や家での昔からの決まり事がある場合もあります。
よく分からない方は、家の年長者やご近所の方に尋ねてみるといいでしょう。
その土地に古くからある石材店なら、地域の慣習にも詳しいので知っている可能性も高いと思います。
まとめ
・和型墓石の基本形は「三段墓」
・寺院墓地では和型の指定があるところも…
・各兜巾型や角柱型は神道のお墓に多い
・手の込んだ加工になるほど費用がかかる
・猫足加工は安定が悪く地震に弱い(推測)
・一般的な和型墓石は9型サイズが多い
お墓を建てるにあたって、最初からどんなデザイン・加工にしようかと考える人も多いと思いますが、まずはそれを担う石材店を選ぶ事のほうが重要です。
基本的には墓地探しからスタートして次に石材店決めなのですが、
「どうしてもこの石材店にお願いしたい!」と決まっているのであれば
先に石材店を訪ねてみて、お墓購入の手順を聞いてみるといいでしょう。
お墓購入の流れについて詳しくは以下の記事を参考にされて下さい。
[box04 title="お墓ができるまで"]お墓の購入までの流れは?建てる手順をわかりやすく解説![/box04]