家族が亡くなって初めて迎えるお正月の過ごし方ですが、新年の迎え方としていつもより控えめに過ごす人も多いと思います。
しかし、旅行を計画している人、にぎやかな場所に行く予定がある人、などもいますよね?
周囲の人からしてみれば、「喪中だというのに…」と白い目で見られるし、
「悲しんでいないのか?」と良くない印象を持たれる場合もあります。
これって常識的にどうなの?というお話と、宗教的な点からも合わせて解説したいと思います。
喪中の過ごし方を気にする日本人
この記事をご覧の方は、以下の2パターンに当てはまるのではないでしょうか?
- 喪中のお正月に旅行に行くなどのちょっと後ろめたい予定があって、周囲の目が気になっている…
- その逆で、身内の誰かが喪中のお正月だというのに、どこかで楽しく過ごそうとしているから不謹慎だと感じている…
一般的に「喪中」という期間は一周忌あたりだと言われます。
亡くなってからおよそ一年間という期間が喪中という事になります。
(喪中が及ぶ家族の範囲は故人との続き柄が2親等とされています)
ちなみに「忌中(きちゅう)」という似た言葉がありますが、これは亡くなってから49日までの事を言うので、喪中より短い期間になります。
「喪中 正月 過ごし方」と検索すれば、何でもすぐにわかる便利な世の中ですが、
宗教的な部分と一般常識的な部分がごちゃ混ぜにされたサイトばかりで、いかに日本人が「喪中」というものをきちんと理解していないかが一目瞭然でした…
周囲の目を気にしがちな日本人が「喪中」という期間を過ごすにはどうすればいいのか??
せめてこの記事を読んでいただいてる方には、ちまたに溢れる情報に惑わされない正しい知識を得て欲しいと思います。
喪中のお正月にディズ〇ーランド!?
ある家族のお話を紹介します。
昨年10月に祖父が亡くなってから初めて迎えるお正月に、孫にあたるAさん一家がディズ〇ーランドに行く計画をしている事が発覚しました。
Aさんの兄弟や両親は「喪中だから不謹慎だ」と反対します。
しかしAさんは、「祖父が亡くなる前から計画して、チケットやホテルも手配済み・子供もずっと楽しみにしている」という理由から行きたいと言います。
こういった問題の時に一番大切な情報がいつも抜けています。
この人達が「神道なのか仏教なのか」です。
忌中・喪中で派手な事を控えるのは「神道」の方です。
この方達が仏教徒だと本来なら「喪中」とは関係ないはずですが…
仏教には「死」を穢れ(けがれ)としません。なので、いつも通りに過ごしてOKなのです。
神道ならAさん一家はディズ〇ーランド中止
仏教ならAさん一家がディズ〇ーランドOK
これが宗教的な答えです。
「喪中」を一般常識やマナーとして考えると…
先ほど「神道なら控える」「仏教ならOK」と言いましたが、
「一般常識やマナー」で考えるとどうでしょう…
喪中のお正月だけどいつも通りで大丈夫かな?
みんなが悲しいのに旅行なんて不謹慎!
こんな時だっていうのにあなたは悲しくないの?
そんな感情的な部分の方が今回の問題では重要視されているように思えます。
最近は、宗教関係なく、このような「にぎやかな事を控える・控えない」はケースバイケースだと言われる事が多くなってきました。
実際にマナー講師や葬儀会社などのサイトでも、
「あまりにも徹底すると周囲に気を使わせたり、問題が生じる事も…」
といった理由から、明確な線引きがされない内容が目立ちます。
個人的には、喪というものには決まった期間はなく、悲しみで心に穴が開いてしまった状態だと思います。
ある御主人を亡くされた80代のおばあちゃんは、3年間は元気がありませんでした。
ただ、
「仏教に喪は無い=悲しんではいけない」
というのは間違った解釈で、親しい家族が亡くなって悲しまないのは無理です。
楽しいはずのものが楽しくなくて「何もする気になれない」というのが人としての喪の期間だと言えるでしょう。
悲しみがあっても普段通りに見える人もいます、生活が変わらない人もいます。
個人差や考え方は人それぞれだという事を忘れてはなりませんね。
では、
このサイトは浄土真宗についてのお話をさせてもらっているので、最後に浄土真宗のお正月の過ごし方をお話ししたいと思います。
浄土真宗の喪中のお正月の過ごし方
おせち・新年会・お年玉 など、みなさんがいつも通りに過ごすお正月で構いません。
お仏壇には松竹梅や鏡餅をお供えする事も大丈夫です。
(参考記事)
⇩
浄土真宗の正月の仏壇飾り方・鏡餅の正しいお供え方法は?
浄土真宗で喪中が無い理由には、死後の世界の教えに理由があります。
亡くなった人は、死後すぐに西方浄土の「阿弥陀如来」によって、仏として極楽浄土へ生まれ還ることができる
このような「死即往生」という教えがあり、亡くなった人は、この世の全ての苦しみから解放されて極楽浄土へ還るという内容です。
お葬式が出た家の玄関に「忌中」と貼ってあるのを見たことがあると思いますが、
浄土真宗では「還浄(げんじょう)」と書かれた紙を貼ります。
「還る・お浄土」という意味です。
「還りつくべき極楽浄土へ還られた」として、浄土真宗の盛んな広島のある地域では、死を喜ばしいものとして捉え、お赤飯をお供えする所もあるほどです。
こういった事から、浄土真宗では「喪」に関する一切の禁止事項はありません。
ただ、お仏壇やお墓参りはきちんとしたいですね?
お寺でもお正月の法要があるので、お参りできるのであれば年始のご挨拶を兼ねてお参りしてください。
(参考記事)
⇩
お寺へのお年賀は喪中や忌中は控える?年始の挨拶の注意点は?
まとめ
喪中のお正月に旅行やどこかに遊びに行くのは
神道「×」仏教「〇」というのが宗教的な答えですが、
神道のご家族は、旅行やにぎやかな事をするのはできるだけ避け、病む負えない場合は少しでも周囲の理解をえた方がいいでしょう。
悲しみの深さや考え方の違いで揉めがちな問題ですが、お互いの歩み寄りによって解決できる事だと思います。