よく49日や回忌法要といった、節目の法事と一緒の日に遺骨をお墓に収める方が多いですが、中には自分達のタイミングで行う場合もあると思います。
お寺さんにお経をお願いせずに、家族だけでお墓に遺骨を納めることをしてもいいいのでしょうか?
今回は、
納骨式はしないとダメ?家族だけで遺骨を納めていい?
という疑問に私の体験談を含めてお話ししたいと思います。
実際の納骨式についての体験談を紹介
当サイト管理人(以下:私)は、「私の祖父の納骨式・夫の祖父の納骨式」双方の納骨に立ち会った経験があります。
少しそれぞれの実家の紹介をさせてもらいますが、私の実家は田舎にあり、浄土真宗・本願寺派の※門徒です。
(※もんと:浄土真宗では檀家とはいいません)
代々お寺との縁も深く、法事や葬儀も自宅でするような家でした。
夫の実家はというと、祖父が実家との縁を切っているので、事実上、祖父が初代のような状態です。
夫の祖父はどこのお寺にも所属しておらず、家にはお仏壇もありませんでした。
ただ、祖父の実家も浄土真宗・本願寺派だったので、私の実家の宗派と一緒です。
ちなみに同じ市内に双方の実家があるので、地域の慣習やお墓の形状などに違いはありません。
夫婦お互いの祖父の納骨式について
私の祖父も、夫の祖父もすでに亡くなっていますが、
先にお話しすると、
私の祖父→納骨式はお寺さんと行った
夫の祖父→納骨式は家族のみで行った
という結果です。
私の祖父の納骨式の様子
私の祖父の時は、49日法要と一緒に納骨式を行いました。
自宅の仏間で49日法要が終わった後、そのまま納骨式へと移りました。
お墓には代々の遺骨が収蔵されているいわゆる「家墓」という種類です。
明治か大正時代に、実家のすぐ後ろにある山に石を運んでつくられたお墓になります。
家を出てすぐのところから登ればお墓があるので、お寺さんにも墓前まで来ていただき、お勤めしてもらいました。
遺骨は墓守の父がお墓に収めて、親族立ち合って無事終了という感じです。
私の実家の場合、
- お寺との付き合いが日ごろからある
- 今までも法事などをこまめにやってきた
- 家からすぐ近い所有地にお墓が建っている
という、そもそも納骨式を「やらない」という選択肢が存在しない家です…。
先代の頃からの「法要の流れ」が出来上がっている家だと、「納骨式をするのは当たり前」という答えが返ってくるでしょうが、
ここでもうひとつ、夫の実家のお話しも紹介したいと思います。
夫の祖父の納骨式の様子
先ほども言ったように、夫の祖父の遺骨は家族だけでお墓に納骨してお参りしました。
夫の実家は仏事に関して、何もかも初めてだったのですが、祖父は自分が元気なうちにお墓の準備だけはすすめていました。
ちなみにその墓地は民営で、お寺の墓地(寺院墓地)ではありません。
祖父が危篤になった頃に、宗派の確認を親族に聞くところから始まり、急いで近くのお寺を探し、バタバタと葬儀や49日法要を行いました。
遺骨はというと…
夫の祖父母はとても仲がよく、何をするにも一緒だったので、当時の祖母はとても落ち込み、お墓は完成していたものの、
「まだ一緒にいたい」と、
心の整理がつくまで(3回忌あたりまで)遺骨を自宅で保管していました。
ようやく祖母の気持ちが落ち着き、お墓へ納骨することになったのですが、私達も一緒に立ち会ったものの、
お寺さんはおらず、家族のみで「お墓の掃除・納骨・お参り」となりました。
私は義母に直接「お寺さんにお願いして納骨式しないんですか?」とは言えず…夫にきいても「さあ?」だったので、
推測するところ、
- 依頼したけどお寺さんの都合があわなかった
- 義母の実家も家族だけで納骨をしていた経験がある
- 祖母の気持ちが変わらないうちに急いで納骨した
- お墓が車で2時間弱のところなのでお寺さんに遠慮した
などなど、勝手な妄想と偏見が入った予測をしてみました。
ただ、祖母が自らお墓に遺骨を納めて、亡き祖父に声をかけて納骨し終えた時、ほっとした顔をしたのが印象的でした。
みんなでお墓の掃除をして、手を合わせて家族だけの良い納骨式だったと思います。
寺院墓地にお墓があるならきちんと納骨式を…
お寺の墓地にお墓がある場合は、きちんとお寺に相談して納骨式を行いましょう。
墓地の管理はお寺が行っているので、無視するようなことはできません。
日程はお寺と相談して決めましょう。
一周忌法要などをお寺でするなら、その後に墓地に出向きます。
新しく建てたお墓ならお墓の開眼法要(浄土真宗では建碑法要)のあとに続けて納骨式を執り行います。
墓地や地域の慣習によっては遺骨の他に
- 遺影
- 位牌
- 埋葬許可証
- 墓地の使用許可証
- 印鑑
- 線香
- 供花
- 供物
- 寺院へのお布施
- 引き物
といったものが必要な事があります。
お寺さんに必要なものを相談するといいでしょう。
納骨式…家庭の事情は人それぞれ
月並みな言い方になりますが、私は「色んな家庭があり、色んな事情がある」と考えています。
それは夫と結婚して「仏事が何もかも初めて」という家庭を目の当たりにした時に、「家の慣習・しきたりというのがこんなにも違うのか…」と体験して教えられたからです。
「お寺に依頼して納骨式をしない」=「悪い」と言うのではありません。
祖父母と同居して育った私と、核家族で育った夫。
代々お寺の門徒として仏事に縁があった家庭、そうでない家庭。
なんども葬儀や法事をしてきた家庭、何もかも初めての家庭。
お寺に依頼して、親族に連絡して、法要のお布施の準備をして、お供えを準備して、食事の手配をして…
私は実家の法事の際に、何度も手伝ってきたので大変さは知っているつもりです。
どの家庭もそれがこなせるかと言ったらそうではありません。
「面倒だからやらない」は論外
夫の実家はその負担が義母に集中してしまっているので、家族だけの納骨式というのも負担を少なくするする意味ではいいと思います。
遠方に住んでいる私達夫婦はなかなか手伝う事も難しく、できるだけの事をしているつもりですが、十分ではありません。
「きちんとお寺さんにお経をもらわないと成仏できない」とか、「故人が悲しんだり怒るのでは?」とか、
故人の霊や魂が生前のように感情があるというのは迷信です。
浄土真宗では、亡くなった故人は「往生成仏」といって、「死ぬとすぐに極楽浄土へ生まれ還る」という教義の宗派です。
納骨式に限らずですが「めんどうだからやらない」のではなく、「できるかぎりの事をさせてもらう」という気持ちでいることの方が大切だと個人的には思います。
お寺の檀家にならずにお経を依頼する方法
夫の実家はすでにお寺の門徒になって、新しくお付き合いをスタートさせましたが、
これから自分達の代でお墓やお寺を考えないといけないといった方は、
お寺探し、檀家になることへの不安、経済的なことなど、お寺との付き合いを負担に感じる方も多いと思います。
私も夫が次男なので、自分達の代からお寺探しをしなければいけない立場なのですが、
私がひそかに利用したいと思っているのが「お坊さん便」というサービスです。
定額料金でお布施の値段が指定してあり、各宗派の本物のご住職が登録されているという、ネットのお坊さん派遣サービスです。
まだ認知度も低く、「親が亡くなった=お寺に葬儀を依頼」という選択肢しか知らない方も多いと思います。
いきなりどんなお寺かも、どんなご住職の人柄かもわからない状態で、檀家になってそのお寺を支え続けるなんてハードルが高すぎます。
「お坊さん便」の最大の特徴は、「檀家になる必要が無く、お経を依頼できる」と言う点です。
一回きりのお付き合いですが、お寺さんとのお付き合いの体験版だと考えることもできますね。
まとめ
・私の祖父→納骨式はお寺さんと行った・夫の祖父→納骨式は家族のみで行った
私の実家はお寺とのお付き合いが代々ある家庭だけど、夫の実家は祖父が亡くなった初めてお寺とのお付き合いがはじまったばかりの状態。
・寺院墓地にお墓が建っているならお寺さんに納骨式をしてもらいましょう
・家庭の事情では家族だけで納骨式を行うのもあり
・面倒だから納骨式をお寺に依頼しないのは論外
納骨式については、地域によって慣習やお墓の造りも違うので、個人的な感想としては、「それぞれの家庭の判断による」というのが大きいと感じています。
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