「自分の土地にお墓があると近くてお参りしやすい」
「両親やご先祖のお墓を自宅の敷地に建てると管理がしやすい」
といった理由で、なるべく自分の土地にお墓を建てたいと考える方も多いと思います。
しかし、勝手にお墓を建ててはいけません。
今回はその理由と
例外として、個人墓地について許可を認める場合がある
といったお墓の基本的な知識を簡単にわかりやすくお話します。
なぜ勝手に自分の敷地内(庭・山林・土地)にお墓を作ってはいけないの?
個人が所有する土地にお墓を建てて、家族の遺骨を埋葬してもいいように思いますよね?
誰にも迷惑かけないのだから…
亡くなった家族・先祖と一緒にいたいと考える人も多いと思いますが、
実は
「墓地・埋葬等に関する法律」 通称:墓埋法(ぼまいほう)
によって墓石を建てる場所、遺骨を埋める場所が規定されているため、
墓地以外にお墓を建てて納骨することは無理といっていいでしょう。
墓埋法とは?
墓埋法は先ほど言ったように、正式名称を
「墓地、埋葬等に関する法律」
と言って、
埋葬、火葬、改葬、墓地、納骨堂、火葬場
に関して幅広く定めている法律です。
この法律は、昭和23年5月31日厚生省令第48号とされ、
「お墓は墓地にしか作れない」
と定めてあります。
墓地ってどこ?お墓を建てていい場所は?
では、どこだったらお墓を建てていいの?って思いますよね
墓埋法によって、お墓は「墓地」にしか作れません。
「墓地」というのは、お墓が集まっている区域の事で、
「○○霊園」とか「○○墓地」というイメージですね?
墓地には都道府県知事の許可が必要で、
墓地を経営するには、公益法人や宗教法人でなければ墓地の経営は許可されません。
個人や会社では墓地を作ることはできないのです。
もし勝手に墓地以外にお墓を作ったらどうなる?
もし、墓地でないところに墓石を建てて、遺骨を埋めてしまうと
墓埋法違反となり、
1,000円以下の罰金または拘留もしくは科料
という罰則が定められています。(墓埋法21条)
さらに、
墓埋法で決められた方法以外の埋葬は死体遺棄(刑法190条)となってしまいます。
自宅敷地内を墓地にする許可を取ればお墓を建てれる?
少し粘って考えてみましょう。
きちんと許可をとれば自分の所有地にお墓を建てれるのでは?
と思う方もいるかもしれません。
しかし、
墓埋法による許可(10条1項)の厚生労働省の墓地経営・管理の指針で
「墓地経営主体は、市町村等の地方公共団体が原則であり、
これによりがたい事情があっても宗教法人または公益法人等に限る」
とされています。
個人の墓地でも墓埋法10条の「経営」にあたるのか?といった議論もありますが、
行政は「個人の土地でも経営にあたる!」として許可を必要としています。
しかし、多くの自治体の「墓地経営」の許可は
地方公共団体、宗教法人、公益法人に限る
と定められているので、個人墓地の設置は認めていません。
例外に個人墓地の許可を認める場合もある
仮に、「個人墓地について許可を認める場合がある」とにおわせている自治体があっても、
既に存在している墓地を利用できない「特別な事情」がある場合
に例外的にしか認められていません。
特別な事情とは、公共事業や災害に伴い
やむを得ず移設しなければならなくなった場合に限られ、
しかも、必要最小限の面積であることなどの条件を満たす必要があるとされています。
最近では特に市街地周辺ではほとんど認めてもらえず、
許可されないことが多くなっています。
まとめ
たとえ広い庭、山林、農地を所有していても、
そこにお墓を建てて遺骨を埋葬することはほぼ不可能です。
また、農地にお墓を建てる場合には農地の転用許可を得る必要もあります。
この場合、土地の地目を「墓地」とする地目変更も必要となってきます。
一度相談したいのであれば、
市町村の窓口にいってみるとよいでしょう。
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