聖☆おにいさん(セイントおにいさん)
のマンガに出てくるブッダやイエスの
宗教ギャグの元ネタを解説します!
まだ知らない方が読まれた場合、
ネタバレになってしまうので、
4巻の内容をまだ知らない方は
ご注意下さい。
※過去記事で解説した用語は省略させて
いただくことがありますのでご了承ください。
なお、この記事は非公式です。
この記事の1つ前の元ネタはこちら(3巻後編)
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聖☆おにいさん3巻の宗教用語・元ネタ解説!後編その20~その22
4巻その23☆ギリギリチョコ
バレンタインについて話すブッダ‥
「ホラ 以前
鍋パーティーした時 私も会った‥
ヴァレンティヌスさんに
縁(ゆかり)のある‥」
「聖ヴァレンティヌス」は、
バレンタインデーの由来に関わる人物で、
ローマ皇帝の政策で、
軍事強化の為に結婚禁止令という
迫害下であっても、
結婚を認められないカップルの為に、
不法に結婚させたというキリスト教の聖職者の
ヴァレンティヌス司祭の事です。
269年の2月14日に酷い拷問
により処刑されてしまいます。
マンガでは辛党として描かれていますが、
キムチの守護聖人ではなく、
本来は恋人たちの守護聖人です。
アナンダの事を話すブッダ‥
「特に 私の話を聞く時の
彼の集中力を活かして麻酔なしで
彼の背中の手術をしたのに
気づきもしなかった時とか‥」
アナンダはブッダの側から片時も
離れないほど献身的に身の回りの
世話をし、
教えをよく聞き、特に熱心な弟子でした。
そんなアナンダがブッダの説法を聞く
入魂ぶりは凄まじく、
一字一句逃すまいと聞くその集中力は
お経にも残される程でした。
ある日、
アナンダの背中に大きな腫瘍ができ、
痛みと高熱が続いたため、
切開して治療することとなり、
医師の手術の際にも
アナンダは説法を聞き、
何一つ感じることなく切開されている事すら
知ることなく終わったという話があります。
(アナンダをもっと知りたい方はこちら)
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ブッダの弟子アナンダはどんな人?美男子(イケメン)でモテた?
ブッダがふと思い出して‥
「だったらよく矢を持った天使っていない?」
マンガでブッダとイエスが話しているのは
恋のキューピッドの事ですが、
これはキリスト教に出てくる天使の仲間では
なく、ローマ神話・ギリシャ神話に出てくる
愛の神様の子供の事です。
よく恋のキューピットと言われるのは
子供の姿をしていて、背中に羽が
いるので天使だと思われますが違います。
「キューピッドは神様」
「キリスト教の天使達は神の使者」です。
贈り物についてイエスが‥
「昔 サタンさんに「世界をやろう」
と言われても全然グッと来なかったし‥」
イエスが洗礼を受けた後に
荒野で40日間とどまり、
そこでサタンから様々な誘惑を受けます。
その中の1つに
サタンが高い山にイエスを連れていき、
全世界を見渡しながら
「この国々の一切の権力と繁栄を
与えよう」
と言われますが、
イエスは、
「サタンよ退け。ただ神に仕えるのみである
権力などいらない」
と言い、サタンは立ち去ったという話です。
ブッダも悪魔(マーラ)の誘惑を振り返り‥
「悪魔系の人って
プレゼントのセンス悪いよねぇ
マーラも似たようなこといってたし‥」
ブッダも悟りを開く為の瞑想中に
マーラという悪魔からの誘惑を受けます。
数々の誘惑の中で
「あらゆるこの世の
栄華繁栄を与えるから
そのようなつまらないことはやめろ」
と言われますが、強い心でこの
欲望(マーラ)を退けます。
マンガの中ではイエスとブッダの
共通点が色々あります。
施し(ほどこし)を受けてきたことを振り返り‥
「施しを受ける時は
食べ残しでも砂が入っていても
食べてきたから‥」
ブッダは日々の食事を托鉢(たくはつ)
による施しで過ごしていたのですが
当時のインドでの托鉢では、
ほぼ食べ残し(残飯)だったそうです。
貧しい人が出来る限りの
施し(善行)をすることが徳を積む
大切な行為だと考えるブッダは、
あえて貧しい村を巡って
人々の善行を積む行為を促したとあります。
チョコについてイエスが‥
「いっそ 本命は「エロスチョコ」
それ以外は「アガペーチョコ」って
呼べばいいのにね!」
キリスト教において、
エロスという言葉は
「男女の愛」で、
アガペーという言葉は
「神による全ての者への慈悲の愛(真実の愛)」
という意味です。
ブッダの妻やショーダラーからのチョコを天人が‥
「毛穴から流し込んででも
渡すように言われてますから‥」
ブッダがまだ悟りを開く前の
苦行をしていた際に、
食事に対する欲を捨てて、悟りに
近づく為に完全な断食を始めます。
しかし、これでは悟るはずの人が
悟る前に死んでしまうと、
神々が困って断食をやめてほしいと頼みます。
しかし頑固なブッダは断食をやめません。
すると神々が
「食を完全に断ち切ってはいけません。
もし完全な断食をするのであれば、
天の栄養をあなたの
毛穴から食べさせてあげましょう」
と強制的に栄養をとらせようとするので、
これでは本当の断食にならないと、
完全な断食を諦めたブッダは、
ほんの一口の少量の食事を
続けることにしたというお話しがあります。
ヤショーダラーからのチョコの文字‥
「愛別離苦(あいべつりく)」
愛別離苦とは、
愛する者との別れの苦しみという意味で、
家族との死別の苦しみといった
逃れる事の出来ない「死」の別れを
意味する仏教の用語です。
マンガでは、
妻子を残して出家したブッダに対して
妻のヤショーダラーが
この言葉を送ったのだと思われます。
4巻その24☆降誕会(ごうたんえ)
梵天が‥
「この私の分の甘茶です
ハッピーバースデー!!!」
タイトルの降誕会(ごうたんえ)は、
お釈迦さま(ブッダ)などの誕生日の
法要の事を言います。
4月8日に
ルンビーニの花園で生れた際に、
お釈迦さまの誕生を竜王が祝って
祝福の甘露の雨を降らせたことから、
ルンビーニの花園を再現した
花御堂を飾り、
中央にある
天地を指差したお釈迦さまの像に
甘露の雨を模した
甘茶をかけて華やかなお祝いをします。
花まつりの詳しい記事はこちら
⇩
お釈迦様の誕生日はいつ?花まつりの別名やお祝いの方法とは?
甘茶の作り方や効能はこちら
⇩
甘茶の作り方や効能は?糖尿病や花粉症に効果あり?
イエスがカードにメッセージ‥
「天上天下唯我独尊!!」
天上天下唯我独尊
(てんじょうてんげゆいがどくそん)は、
お釈迦さまが(ブッダ)生まれて
すぐに七歩あるいて
右手で天を、左手で地を指差し、
この言葉を言いました。
意味としては
「人は誰もがかけがえのない命を生きている」
とされ、
よく間違われがちな、
「天にも地にも我ひとり」
といった、
この世で一番尊いのは自分だとする
解釈は間違いだとされます。
(暴走族の特攻服の刺繍に見かける
事がありますね‥)
鳩が‥
「滅びよ!」
キリスト教における「滅びよ」という
フレーズは、
イエスが十字架による
死と復活をもって人類の罪を救ったという
理解しがたい事を受け入れる事ができない人や、
それを嘲う人に向けられる言葉です。
「信じる者は救われる」の反対の意味で
神の言葉を拒むものは滅びの選択を
してしまい、
イエスを信じる人は
「救いを受ける人々」となります。
ブッダが‥
シャカ族はもう滅んでますよー
ブッダの存命中に出身国の
釈迦族は滅亡してしまいます。
隣国の王にシャカ族から
娘を妃として差し出す際に
王族の嫡子と偽り、
王族と下女の娘をつかわせたのが
そもそもの発端です。
イエスががっかりして‥
エリエリラマサバクタニ‥
エリ・エリ・レマ・サバクタニ
とも言われ、
イエスがはりつけにされた際の、
最期に言った言葉です。
意味は、
「わが神、わが神、なぜわたしを
お見捨てになったのですか」
というものでした。
嬉しさのあまりにブッダが‥
「諸行無常!!」
「盛者必衰!!」
諸行無常(しょぎょうむじょう)
は仏教の三つの真理の内の最初に
出てくる1つです。
全ての者は一瞬一瞬の内に
変わり続け、永遠にその形をとどめ
続けるものは無いという教えです。
人間の命などによく使われます
盛者必衰(じょうしゃひっすい)は
栄えたり、繁栄したりするものは
必ず無常にも衰退するといった教えです。
どちらも平家物語の冒頭に出てきますね。
4巻その25☆服着たる!
イエス:
「バチカンの制服に比べたら
まだ大人しいよ」
ブッダ:
「あぁ 近衛兵とか自己主張の
固まりだよね!」
日々バチカンの警備にあたっている
衛兵はど派手な制服が有名で、
幅の太い赤・黄・青の三色の
ストライプで、まるでトランプの
ジョーカーのような恰好です。
マンガの中でブッダが
近衛兵(このえへい)を持ち出していますが、
おそらくイギリスの
近衛兵だと思われます。
黒いクマの毛でつくられた高い
帽子に、真っ赤な上着と黒いズボン
という制服で女王陛下を護ります。
昔の自分を思い出してブッダが‥
「全身カーシー産の布で
そろえたりして‥」
インドで最もなめらかで優れた
布でカーシー産の布は高価で
有名でした。
たびたびお釈迦さま(ブッダ)
のお話しの中に出てくる布です。
出家後の服装についてブッダが‥
「絶対に 着るもんか」って思ってた‥
ブッダのいた時代の修行僧の
苦行の内容の1つに
常に全裸で過ごすというものがありました。
マンガの最初にあった
糞掃衣(ふんぞうえ)は
着衣に関する苦行で、
麻などの粗衣だったり、墓地などに行き
死体から捨てられた布やはぎれを
縫い合わせたり結んだりして
着て過ごすというものがありました。
4巻その26☆7月1日雨のち晴れ
パンフを買ったイエスにブッダが‥
「この外道!!!」
マンガ中にブッダが説明してくれて
ますが、
仏教用語で外道(げどう)
とは、仏教徒以外の人を言ったり、
道理に反する教えなどの事を言います。
犯罪者や人を傷つける人に対して言う
「外道」は本来の意味とは違う
誤解された使い方ですが、
かなりの悪口として使われています。
ちなみに、外道反対で、
仏教の事を「内道(ないどう)」と言います。
ブッダが雨の中‥
「雨から私を守る担当は
ムチリンダ君なんだけど‥」
ブッダが瞑想していた際に、
当時のブッダガヤという場所で
嵐が襲ってくるのですが、
その雨風をよける為に
釈迦の体にムチリンダ龍王が
巻き付いて守ったとされる話があります。
マンガでは頭が1つですが、
美術品などの多くには七つの頭の
ムチリンダが釈迦の体に
七重に巻き付いて守る様子も表されています。
虹についてブッダが‥
「二度と大洪水で
人類を滅ぼそうとしないよ」
って約束覚えてるよって
メッセージなんでしょ?
キリスト教で、
虹は人と神の架け橋とされています。
虹は愛の象徴ともされていて、
ノアの洪水で神に選ばれた人間と動物など
だけを残して、その他全てのものを
洪水で滅亡させた際に、
生き残ったノアに、
「二度と洪水によって
他の生き物を全て滅ぼすことはしない」
と、約束のしるしとして、
神が最初の虹をつくったという話
が元ネタとなっています。
ブッダがりんごをイエスに勧めるが‥
その後 りんごを食べるかどうかで
議論になり折衷案でジャムになりました
りんごはキリスト教において
重要な果実で、
アダムとイブが楽園から追放されてしまう
原因として、禁断の木の実を食べたという
事があげられますが、
聖書にはりんごだとは明確に書かれていません。
イブがヘビにそそのかされて、
禁断の実を食べ、
アダムにも分け与えてしまう場面があり、
2人の無垢は失われ
裸を恥ずかしいと感じるように
なってしまいます。
この時に局部を隠すのに使われたのが
イチジクの葉であり、
禁断の果実として
イチジクをモチーフにした作品も多くあります。
まとめ
宗教用語に関しては、当サイト管理人は
専門家ではありませんので、
あくまでも簡単な知識程度の
感覚でご理解いただきたいと思います。
宗教への理解や解釈の違い等があると
思いますが、「聖☆おにいさん」を
より楽しく読む目的で記事を書いたことを
ご理解いただけたら幸いです。
この記事の続きの元ネタはこちら(4巻後編)
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聖☆おにいさん4巻の宗教用語・元ネタ解説!後編その27~その29