浄土真宗では戒名ではなく「法名」と言いますが、一般的にはお亡くなりになってからお寺さんに付けてもらう方が多いと思います。
その際に「いくら必要か?」という不安を持つ方がとても多く、
葬儀等でバタバタした時に説明を受けたとしても、しっかり理解できる方は少ないと思います。
今回は、
浄土真宗の法名や院号にかかる金額と知っておくべき基礎知識
ということで、
すでに法名をいただいてる当サイト管理人(以下:私)が、その経験も踏まえて法名・院号の金額や基礎知識をお話しします。
- 法名にかかる金額や相場は?
- 院号をつけてもらう為にはどうすればいい?
- 院号はいくらかかる?
- 法名の文字数や「釋」の意味は?
- 法名は長いものほどいいって本当?
これを読めば、疑問が全て解決し、心配事や不安がなくなると思います。
浄土真宗の法名にかかる金額の相場
法名は本来「生きているうちにいただく」もので、
仏弟子となって浄土真宗の門徒としてその教えに帰依する(頼みにして力にすがること)
という誓いをたてて授かる意味があります。
法名の値段をお話しする上で、まずは参考にしていただきたかったので、
浄土真宗で法名を授かる為の「帰敬式」に必要な金額をご紹介します。
[受式冥加金"]
成人‥1万円
未成年‥5千円
という金額になります。
好きな文字を入れたい場合はプラス1万円
もし、希望する法名(文字)がある場合には、
所属寺住職と相談して内願すればプラス1万円以上で受付可能です。
思ったよりもかなり安いと感じた方が多いと思いますが、これは門徒の方が生前に法名を授かる場合の金額です。
※帰敬式を受けていない方がお亡くなりになった時は、お世話になっているお寺のご住職から法名をいただくことになります。
亡くなってから法名をもらう場合の値段は?
実際には、亡くなった後にご住職に依頼して法名をいただく事が多いですよね?
葬儀を行うお寺によっては、目安の金額を教えてくれるところもあるかもしれませんが、
浄土真宗の場合には他宗派のような「戒名料」といった名目は通常ありません。
あえて法名の値段の相場を言うなら…
先ほどの帰敬式の金額を参考に、法名料の相場を考えるのであれば、
2万
あたりではないでしょうか?
この2万というのは「釋○○」といった基本的な法名の場合の金額です。
法名料は葬儀の御布施に含まれることが多い
法名に関するお金は、葬儀のお布施の中に含まれるのが一般的だと思います。
まだ法名をいただいてないご家族がお亡くなりになった場合、
通夜・葬儀の日取りの相談の時に、お寺さんに尋ねてみるといいでしょう。
「故人が法名をまだ頂いていないのですが、法名の御布施はいくらでしょうか?」
「葬儀の御布施の中に、一緒にお包みしていいでしょうか?」
と、何でも相談してみましょう。
直接聞きにくいのであれば、葬儀社を通じて聞いてもらう方法もあります。
浄土真宗で院号をいただく値段は?(院号料)
(※便宜上「値段」や「院号料」といった表現をしていますが、院号をいただくのにこのような言葉は使いません。)
法名の前につく「○○院」といった院号をいただく場合ですが、院号はお寺をしっかりと守り発展するために貢献された方へ授与されるものです。
気になる金額ですが、
20万円以上
となっています。
院号が20万円以上の理由
浄土真宗本願寺派には、院号をいただく為の授与基準というものが存在します。
院号をもらう基準は以下をご覧ください。
[院号の授与基準]
- 在任年数が20年以上を超えた住職または坊守
- 寺院の責任役員を通算12年(3期)以上経歴された方
- 寺院の門徒総代を通算20年(5期)以上経歴された方
- 宗門(寺院・組・教区)の護持発展に貢献された方(僧侶、本願寺の門徒総代、参与等)が亡くなられた場合
- 本山(本願寺)に永代経懇志(えいたいきょうこんし)を20万円以上をご進納された場
- その他宗門より認められた場合
以上の院号授与基準のうち、一般的な方でも院号がいただけるのが
⑤の「永代経懇志というお金を本山(本願寺)に20万円以上ご進納された場合」
という基準になります。
私は帰敬式で法名だけいただきましたが、
祖父・祖母・父 の3人は、生前に「院号+法名」をいただいています。
やはり帰敬式を受けて法名をもらい、永代経懇志も納めて院号をいただいていました。
永代経懇志はお布施みたいなもの
永代経懇志というのは
「お寺の教えが末永く守られて発展していきますように」
と願って貢献する為に納めるものです。
本山(西本願寺)へ永代経懇志を納められた方に対しては、功労の「お扱い」という意味で院号が交付されるというわけです。
なので、あくまでも永代経懇志は院号を買う為の料金という意味では無いという考え方をします。
遺族が故人の代わりに永代経懇志を納めても院号もらえる?
まだ法名をもらっていない方がお亡くなりになった場合、院号を希望するのであれば、
故人のかわりにご遺族が永代経懇志を本山へ納めて院号を交付していただく事は可能です。
実際に、このような事例は多くあります。
その場合は、故人の為を想う形で懇志を納める場合が多いのですが、
ご遺族の方も宗門の発展を願って納める気持ちが大切です。
浄土真宗本願寺派では一般寺院・住職が院号を付与することはありません。院号を頂く場合には本山へ申請し、本山より交付していただきます。
浄土真宗の法名は「釋○○」が基本

浄土真宗の法名は2文字しかありません。
その頭に「釋」が付いて「釋○○」となるのが基本の形です。
浄土真宗の法名はすべてこの2文字に決められていて、経典にちなんだ文字か自分の名前(俗名)から一文字取り入れた形で構成されています。
ひと昔の法名には「尼」という文字が入っていることがありますが、これは女性の性別を表す為に使われていました。
現在の法名には性別を表す「尼」はほとんど使われなくなったので、男性も女性も「釋○○」となっていることが多いと思います。
法名に必ず「釋」が付く意味と理由
「釋」と言う字は、お釈迦様の「釈」という字の旧文字にあたります。
お釈迦様から一文字いただいて、お釈迦様の弟子(仏弟子)にしていただくという意味があります。
皆と同じ「釋」の付いた法名をいただくというのが浄土真宗のきまりです。
文字数が多いほど値打ちや位が高いわけではない
浄土真宗の葬儀に出席した他宗派の人が、3文字だけ書かれた釋○○を見て
「これだけ?」
と驚くのを見たことがあります。
仮に院号をつけたとしても「○○院釋○○」の6文字です。
ちなみに日本一長い戒名の徳川家康(浄土宗)は
「東照大権現安国院殿徳蓮社崇誉道和大居士」の19文字ですが、
宗派が違えどこんなに差があると、文字数が多い戒名というのは立派に見えますし、長い方が位が高いと考える人もいます。
やっぱり短い法名は葬儀の時に見栄えが悪い…
これでは死後の位が低いのでは?
なんだか故人がかわいそう‥
なんてついつい思いがちですが、
こういったことを思い悩むのは間違いです。
極楽浄土ではみんな平等
浄土真宗の教えでは、
社会的地位や修行の度合いによって死後の「位」が決まるのではなく、信心一つで皆が等しくお浄土(極楽浄土)へ生まれることができる
という教えなので、文字数や位の高さにこだわるのは間違った認識です。
なので、浄土真宗には「釋○○」以外に「信士・信女・居士・大師」といった修行生活の形態を表す「居号」などが付かないのです。
まとめ
・帰敬式で法名をいただくなら「成人1万円/未成年5千円」
・法名料は通常必要ない(葬儀の御布施の中に含まれている)
・院号は永代経懇志を本山へ20万円以上納めると交付される
・宗門の護持発展を願って納めるお金なので「料金」ではない
・浄土真宗の法名は「釋○○」が基本
・「釋」とつくのはお釈迦様の仏弟子にしていただくという意味
・文字数が多いと位が高いというのは間違い
気になる事があれば所属寺の住職へ尋ねるか、本山の担当部署「本願寺参拝強化部 帰敬式係」へ問い合わせましょう。